まるいカケラ#001

そして、僕の心にはまるいカケラが残った。真紀は夢に向かってイタリアに旅立った。僕はこの街で僕の夢を追いかけていこう。

「まるいカケラ」

半年前

「だ・か・ら、真樹ってば、何度言ったらわかってくれるのかな!」いつでもどこでも火がつくのが早すぎる。ちょっと何かを慎重に考えるということができない人。言葉にする前にすでに走り始めている人。好き嫌いが激しい上に他人の好き嫌いに興味がなく同調とか協調とか共有とかという文字はこの人の頭の中にはきっとないのだろう。いつもいつも自分のペースで地球は自分中心に回っているという説をいつか発表するだろう。
「ねぇ!何をまた考えてる?言い訳?御託?議論の準備?ねぇねぇ!私、10時からリカの勤めている会社でバイトだから行くね。」「自習は?課題は?もう提出できる状態なの?」「うん?じゃあ!」そそくさとさっきまでメモしていた小さいノートをバックに放り込むと店を出て行った。彼女の基本姿勢はアート中心の人生を送ることで、現在はそのための準備期間らしい。僕は大学を卒業したらどこかのIT系の企業に入れればいいと思っている程度。情報技術ビジネスとアートの間にはかなり深い溝があるように最近思えてきた。それは真紀という人に出会ったことが少なからず影響している。