WEAK POINT

 10年以上前、あるパンフレットの表紙デザインのプレゼンテーションで田舎のデザイナーさんと競合になった。その頃、大阪のデザインプロダクションにいたので、それなりに自分のデザイン力はそこそこだと思っていたから、自分の知識や技術でのぞめば「地方のデザイン屋さんには負けないだろう」と考えていた。その当時のイラストレーターやフォトショップで目新しいデザインをいくつか作成してパンフレットの表紙案を作った。結果、地方のデザイナーさんの表紙案に決定した。広告代理店の方から採用されたデザインを見て、いろんな意味でショックで愕然とした。その頃のソフトウエアでできるトレンドで雑誌やテキスト本で展開されているデザインのいいところと、今回のテーマにそったデザインを自分なりに解釈してデザインを作ったつもりでいたのですが、地方のデザイナーさんの作品はシンプルでソフトの機能などちょっと失笑してしまうような使い方だったのですが、仕上がったデザインは力強い仕上がりだったからです。これがトレンドだ、このソフトウエアを使っているなら最低この機能とこの効果は使用してあたりまえだと思って作成したモノが、結果的にまとまりのないとりとめのないギクシャクしたモノになってしまい、ポイントがずれていた。しかし、そのデザイナーさんが作られた表紙のデザインはソフトの使い方は貧弱でも「しっかりしたデザイン」に仕上がっていた。その時は「なんじゃその貧弱なデザインは!」と精一杯うそぶいてみたものの、非常に空しかった。
 あれから10数年後、現在は地方のデザイン屋さんをしている。東京や大阪のお客様ともお仕事をさせていただいているのですが、この反省を生かして「デザインの大切さ」を肝に銘じて取り組んでいます。しかし、本質的に最新のソフトウエアを効果や機能をこねくり回すことも辞められないので、このバランス感覚を大切に日々の仕事に取り組んでいます。
 時にアドバンテージがあると思っている事でも意外と底辺の基礎の部分がグスグスになり、薄い事に気がつく。すぐに裏返り一瞬でWEAK POINTになってしまう。逆にWEAK POINTをプラス要素に展開できる面白さや魅力がデザインには存在することも事実ですので、そのあたりを頑張りたいと思っています。