Black&White

tekkon01.jpg
 素人映画評論家のベクトルはとても複雑である。プロなら定石やセオリーや傾向があるから期待もするすし裏切りも全てありきで計算の上、楽しく読むことができる文章に仕上がっている。しかし、素人の映画評論(というより批評)は非常に自由自在である。世の中の評判を意識しながらも勝手な思い込みと自由自在な表現でいつもお気に入りの映画にダイブしている傾向にある。特にブログでそれを読んだ、読まされた日には新鮮な驚きなどほとんど皆無で、勝手な妄想レベルの映画に対する主観の渦になりがちである。ここまで前置きをさせていただいたので、自由な映画感想文に少しお付き合いください。
 その映画は「鉄コン筋クリート」デス。原作者はあの松本大洋氏であり、松本氏の出世作とも言えるこの原作がこんなカタチで映画になった日には、ファンと言わずとも魂が揺さぶられたはずである。映画を構築する全てのパーツが100点なのですが、特に全体に漂うトーンがいい。絵のチカラと言ってしまえばそれまでなのですが、絵も音楽も声優も場面の全てのトーンがいい。いいモノを語るのは非常に難しい。言葉が見つからないほどいいからである。その中でも一番いいトーンはその全てがシンプルであるという事かなと思っています。難解を売りにしていかようにでも解釈ください的な円盤投げメッセージは時にフィールドを捉えたら大記録になるのですが、投者が未完成だと観客席に円盤が飛び込む。投者の周りには保護ネットがあったのに・・・、それをすり抜けて観客席に円盤が飛び込む。この円盤投げ型のメッセージの投法はそんな意味でドキドキワクワクはあるのですが、なかなかこれが、想定以上のフィールドに落ちることは少ない。やはり、メッセージの投げ方はシンプルな方がいい。そして投げる物体もスマートな方がいい。では、「鉄コン~」の場合は何をどんな投げ方で投げているのか・・・?ここら辺から素人映画評論家の自由気ままさが全開になります。「鉄コン~」の場合、メッセージがこまのようにその場で回っていた感覚でしたね。じっくりとひもを軸に巻きつけてひとひねりひとひねり巻き上げたひもとコマを握り締めて、イッキにそれを凄まじい勢いで投げた感覚。その回転エネルギーを受けたコマが地面の上で土煙を上げて回転しているイメージでした。で、映画が終わるとコマは勢いを失いコロリと土の上にころがる。でも、その回転を1回でも見た以上、手に残ったひもを握り締めて、そのコマを拾うのです。そして、ひと巻きひと巻き、また、コマにひもを力強く巻き上げる。そして、投げる。巻く、投げる。巻く。そんなトーンでした。決して宇宙の果てまでコマは飛んでは行きません。決して無限のエネルギーで永久にコマは回転しているわけではありません。増してや回転しながらそのコマは七色の光を発光させるわけでもありません。投げた勢いの分だけ回転して止まる。それが、なんとも素敵なんです。