映画のファーストシーンのような。

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 こちらは東京の某所の写真。撮影者はあるギャラリー様のオーナー様。ご好意でお譲りいただいた。東京で仕事していた時は高層ビルなんてなんとも思わなかった。いつも見慣れた風景でしたから、立ち止まって「おお~っと」なんて見上げることはなかった。初めて東京駅から地下鉄で池袋の駅前に出て見上げてた時の記憶はかなり強烈でしたが、そこに住んでしまうと風景は自分の生活の一部になり、初めての感動が薄れていきました。東京を離れてしばらくしてぶらぶら歩いても、まだ、暮らしていた時の記憶が残って新鮮な印象は皆無。しかしながら、この写真は強い。「色彩」「曇天」「構図」といろいろ分析してみるのですが、パーツパーツは心に残留してる新宿の高層ビルイメージとそれほど変わらない。徹夜を明け仕事仲間と見上げた冬の都庁ほどインパクトはない。なのに、今、この写真をギャラリー様で拝見して、ドキリとしてしまった。たぶん、撮影された方の視点に何か秘密があるように思います。
 あと10年後、仮に東京大震災が発生し東京が廃墟化し日本が本当の意味で崩壊するなんてSF映画をD.フィンチャーが撮ったらこの写真は間違いなくファーストシーンだろうと思う。東京の幻影をシンボリックに表現している写真だと思う。東京の街に魅力は存在しないし、東京という先入観が肥大し、今、綻びながらも機能を失わないのは、それ以上にそこに暮らす人達が肥大した先入観を信じて止まないからなのでしょう。排他的なイメージですが、それほどこの1枚の写真にはイマジネーションを覚醒されてしまいました。