こんなうそ。

 忘れられない映画はたくさんありますが、映画とは言え、こんな「嘘」をプロットにした名シーンは他にあまり記憶にないですね。その映画は「トゥルーロマンス」。映画のお話の概略は割愛させていただきますが、タランティーノの恋愛バイオレンスです。でも、この頃は映画に対してやりたいことが明確だったのか、展開に無駄がなかった。しかし、今はちょっとやりたいことをやりすぎのような印象があります。しかし、「トゥルーロマンス」は素敵でした。
 で、映画館で出逢い一夜で愛を確かめ翌日籍を入れたカップルのお話なのですが、この主人公があやまってマフィアの商品を奪ってしまう結果になる。それを返さずに二人はデトロイトを離れ、確かロスに向かう。しかし、怒りに怒ったマフィアのボスは右腕である最も冷酷なご意見番を主人公の親父のところにやり息子の行き先を確認しようとする。この息子がC.スレーターで、親父がD.ホッパーで、マフィアのご意見番がC.ウォーケンという映画史上まれにみる豪華すぎるセッティング。
 警察からおちぶれて守衛をしている親父が自宅(トレーラー暮らし)に戻ると、ご意見番とその手下達がトレーラーの中で待っている。一瞬で取り押さえられた親父は自室のソファで縛られて身動きはとれない。冷淡に微笑むご意見番(このC.ウォーケンはディアハンターよりいい)。そこで、歴史的な名シーンがアクション!
 勿論、前のシーンで息子と彼女は親父の自宅を訪れ行き先を告げマフィアとの複雑な事情を聞かされています。
 すでに自白をせまられ顔は殴られて血だらけ(このシーンは2007年のカレンダーに描きました。)ですが、親父は自白するつもりなどない。見るに見かねたご意見番は手下にアイコンタクト。手下はナイフで親父の手のひらを切る。血だらけの親父の顔がゆがむ。そこで、ご意見番は「嘘の見破り方」について優位な立場で余裕しゃくしゃくで語りはじめる。男が嘘をつくときのパントマイムは11種類あり、俺はそれを全て知っている。お前は嘘をついているかついていないかなんてすぐに分かる。だから、無理をせずにさっさと自白しろと。ちなみに女は17種類あると、さらに余裕しゃくしゃく。ナイフで切られた手にウイスキーをかけられ、さらに苦痛でゆがむ親父の顔。しかし、親父は腹を括ったような表情で、手にハンカチをまきながら、そのご意見番にタバコをくれと言う。「何をこのごにおよんで」みたいな顔でご意見番はしぶしぶ親父にタバコをやり火をつけてやる。親父が重い口を開く。「俺は本を読むんだ。お前はシシリア人だな。シシリア人は黒人との混血だって知ってるか?」と冷静な口ぶりでご意見番に聞く。それを聞いたご意見番は怒りを通り越してあきれた表情で手下達と冷たく笑い合う。なぜ、シシリア人が黒人との混血だという理由を長い台詞で言いきった上で、血だらけの手の中指を立ててこう言う。「おい、お前の祖先は黒人なんだよ」と。一瞬で表情が冷たくなるご意見番。で、親父。「おい、今、俺が言ったことは嘘か嘘でないか見破れるのか?」と。
 ここに嘘の真理が存在するように思え、忘れられない映画のワンシーンになりました。4月1日ということでこんなちょっとハードな「嘘」のお話でした。