創作の秘密!?

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 日本のアウトサイダー・アーティストの作品と「ローザンヌ アール・ブリュット/交差する魂」というタイトルの展示会を観にいきました。伏線はこうです。「有名になりたい。作品を高く売りたい。アウトサイダーアートの作家達は、そういうことを考えない。自ら世間に名乗りでることもない。誰にも知られず、ひとりぼっちで、自分のためだけに絵を描き、ものを作る人々。だから、彼らの創作の背景はほとんど知られることがない。~中略~アウトサイダーアートの作家たちの表現の源泉はどこにあるのか。彼らの創作の秘密がはじめて明らかになる。」分かったような分かっていない表現である。
 また、この展示会のチラシにはこう紹介文がある。「この展覧会は、アール・ブリュット・コレクション(スイス ローザンヌ市)とボーダレス・アートミュージアムNO-MA(滋賀県近江八幡市)との連携による企画展です。アール・ブリュット〈生の芸術〉(またはアウトサイダーアート)と称される作品たちは、正規の美術教育を受けていない人たちによって、文化潮流や伝統また流行などとは無縁に制作さえています。作り手本人のやむにやまれぬ何かの思いにのみ司られ、作られているのです。それゆえ作品は、人が人として存在する上で根源的に持っている〈表現したい衝動〉というものの底流を、ありありと伝えて来ます。~中略~通常の美術展という枠ではとらえきれないボーダレスな世界。私たちにとって表現とは芸術とは何であるのか。多くの方々にとってそれぞれの心の深い部分で体験していただける機会になるとことを願っています。」となっている。これも緩い。
 しかし、作品が持つエネルギーは絶対にその場へ行き自分の目で見なければ感じとることはできないので、その場へ赴いた。DVDも販売されていた、テレビでも紹介されたと受付の方がお話されていた。しかし、そこにあったのは作家の全身全霊の創造物ではなく、純粋ではあるが振幅の少ない、躍動的で独創的ではあるが質量の少ない、造形物・描写物でした。この見解・洞察はある意味、崇高と位置づけられなくもないが、それほど、人間は器用ではない。これらの作品の意味や価値は彼らが創り上げたその場で完結し、たぶん、そこからの惰性を彼らは絶対に望んでいないはずだと感じた。それを、「どうですか!素晴らしいでしょう!」みたいなモードの皆様が一つの箱の中に並べ、適当な想いでこの作家の方たちとの連携と称しながら、一定の距離を置いて傍観しているにすぎない。そんな空気が充満していてとても息苦しい空間でした。早く早く、この作品たちを作家の手元へ戻してあげてほしい。皆さんが考えるほど「アート」は浅くないですから。