ある店長さんの熱意。

 とてつもなく古いテレキャスター(エレキギター)を楽器屋さんに持ち込んだ。修理をお願いするためにである。持ち込んだ時はギターに詳しい女性のスタッフの方が対応していただき、さすが、楽器屋さんだと思ってこちらの修理のポイントを説明してまずは診断をお願いした。そして数日後、電話連絡が入った。このギターが制作されて販売された年代や開発された意思やモデルの特徴と現在のギターの状態についてとてつもなく細かい診断をしてくださった。そして、修理にかかる費用についても通常ここからここまでですと淀みなくお見積もり金額をご提示いただいた。できるだけ安価に修理できれば、復活すればいいなぁ~と何のギターの構造上の知識もないまま漠然と思っていたことに対して、その気持ちもすでにプロの視点で読み取られているように思えた。だから、その店長さんがおっしゃる言葉のひとつひとつをとても真剣に聞けた。このテレキャスを修理するという方法は価格帯によっていくつか選択肢があります。ここまで希望される場合はこれだけの費用、ここで妥協されるのでしたら費用はこれぐらい。しかし、その費用をかけてまで・・・とおっしゃるのなら、こことここを修理して弦だけはって部屋に鑑賞用として飾っておいてください。その方がこのギターが喜ぶでしょう。とまでの言葉を頂いた。そのまま引き取り「診断ありがとうございました。」で終われば、その楽器屋さんとしては売上げは0なのに。この熱意にはガツンなのでした。古いギターを診断する。適正な修理価格を提示する。お客様の希望に対して選択肢を提示する。ここまではプロとして当たり前なのですが、そこからの熱意とはもう、その方の中からしか出てこないと痛感した。
 で、逆の立場で同じことが企画・デザインを仕事にしている自分に出来ているだろうか自問自答した。やろうとは努力しているが、いつも中途半端に終わってはいなだろうかとか、知識や提案ばかりを並べ立ててお客さんの気持ちに踏み込み過ぎていないだろうかとか、熱意が空回りしていなだろうかとか。私みたいに古いギターを持ち込む者から、新品の楽器を求めてくる方もいるだろうし。楽器を買うということは演奏技術を高めたと考えるはずだから、その部分についてアプローチはされているはず。つまり、ひとつの商品を買っていただくということは、ただ、「どこよりも安く売る」ではNGなのである。たぶん、これからいろいろバンド活動をするにあたって、必要な備品や消耗品や、新しいギターはここでまず最優先で検討するだろうと思います。「顧客満足を目指そう!」と壁にかけているだけではだめなのである。仕事に対する熱意は自分の中から湧き上がってこないと、絶対にお客様一人ひとりには伝わらないということをリアルに感じさせていただけた店長さんだった。本当にいろいろお世話になりました。今後ともよきアドバイスをお願いします。となるのである。当然。