鳥居みゆきのリアリティー。

 イロモネア・ピンモネアという昨日のテレビプログラムの中のお話。漫才コンビやピン芸人さんたちがそれぞれに5つのジャンルを順番に選び会場にいる100人のお客様からランダムに選ばれた5名が笑うか笑わないかというレギュレーシヨンで5つのジャンルをクリアしていき、全てをクリアすれば100万円というゲーム。さすがスペシャルだけあった、めんどくさい人は出ていない。流石の面子。その中でも、1分間という限られた時間の中で設定以上の笑いを獲得するというのは、かなり限られた技を持っている人達だと思います。そんな妙な緊張感がこの番組のキモ。ランダムにセレクトされた観客を笑わせるということは例えそれが5人中3名の場合は60%の笑いを獲得する必要がるという計算になり、5名全員を笑わせるとなるとほぼ100%(100名)の笑いを獲得することになる。これは100万円の価値があり、それ以上にこのテレビプログラムのクオリティーに繋がる仕組みになっているのでしょう。
 で、「劇団ひとりさん」も100万円は獲得されましたが、強引な展開でそれに対してただ観客が反応しただけという、決して笑いという反応ではなく、かなり失笑に近い反応でした。
 が、鳥居みゆきさんの5つのステージはワールド全開で映画「CUBE」をイジるなんて素晴らしいと感激してしまいました。不思議キャラを突き抜けて暴走キャラと言われている鳥居みゆきさんのステージは一見そのように見えますが、そのネタの細部に目を向けると完全に計算された上で自分の乱数とセンスと直感を交えて完璧な「鳥居みゆきワールド」を完成させている。それが、熟練の漫才コンビのようなしゃべくりの完成度だけが高いという作品ではなく、彼女の個性や言動がこれほどシンクロしていながら他の演者には出せない独特の笑いに仕上がっていると思います。これだけお笑いブームでいろいろなタイプの笑いを日々テレビで見せられれば「ああこのネタ知ってる知ってる」「なんか教科書どおりにやってはるなぁ~」という感想になってしまうことが多いのに、鳥居みゆきさんは初めてエンタで観てから確実にネタのバリエーションを進化させ、トークにおいてもポテンシャルを120%発揮しておられる。時にどれだけ練りこんだネタでもタイミングやスピード感を誤るとただのポンコツになる。それが「笑いの神様」と言われている存在なのでしょう。山﨑邦正さんなどもうすでに神様なのかもしれない。他の歴代の重鎮達が一生懸命考えて練りこんだ熟練のキャラを作り上げているのに対して、山崎邦正さんは別格の存在感である。
 つまり、テレビプログラムにおいてか笑いという分野において最も求められていて価値の高いコンテンツの資質とはこれなのである。テレビの向こうの一般Pはそれが観たいのである。何もこのフレームは「お笑いの世界」だけのことではないはず。