デザインの制作時間について。

 非常によくある質問なのですが、「実際のところデザインを作成する時の時間って何か規準があるのですか?」「例えば、ロゴマークのデザインを作成する場合はどれぐらいの時間が標準的なのでしょう?」「WEBサイトの場合は最初の打ち合わせから完成・公開までは標準的にどれぐらい?」というお話をよくしていただくケースが多い。しかし、長年このデザイン・広告とWEBの仕事をしていますが、これぐらいのデザインならたぶんこれぐらいで仕上がるだろう・・・と最初から正確にデザインの完成形を出発地点の段階で予測できたことはほぼ0ケースです。仕事は小さい大きいなどとボリュームで測れないし、予算やイベントに対してのツールなどはそれらを逆算してスケジューリングするから、必然的に時間枠の中でクオリティーを最大限引き上げるアプローチになります。が、もし、フラットに上記の質問をされた場合はやはり、「予測不可能」という実感です。
 若い頃はあまりにも少ない経験値と引き出しの数とツール(道具)に対する不慣れ、引いては技術不足で、デザインという仕事スタイルを自分の中に取り込むことでオーバーヒートの連続でしたし、それが、歳を重ねる毎に妙な「なれあい」(自分自身に対して)モードに満足するようになりがちな時も多々ありましたが、それは、最後の最後でその「パターン化モード」を選択しない決断をするように努力してきたつもりです。しかし、どのような濃密なプロセスを経ても仕上がったデザインが100%自分もお客様も納得するということはこれまた100%あり得ない。若い頃は誰からも賞賛されるデザインを創りたいと心から願って試行錯誤して議論・協議した事もありましたが、これは、そこを目指すためのモノではなく、まずは、クライアント様が「何をどのようにどのような雰囲気で創りたい。」かだけを集中して消化するための胃液に変えようと思えた頃から、このデザインの仕事の面白さが味わえるようになったような気がします。ですから、このプロセスで「どれぐらいの時間?」が全く予測不可能ということは、至極当たり前のことなのです。最終的な仕上げとそのギア・ツールがどのようなビジネスにおける目標値を達成できるかという価値観と原材料費の兼ね合いで制作費用は算出可能ですが、こと「デザイン」となると、やはり、時間も品質もタイプも目的達成率も「予測不可能です。」が一番適正な解答になります。