直木賞の北村薫氏。

 北村薫氏は6度の直木賞候補での受賞らしい。そして、北村氏は新聞に「長い年月にわたって候補にしていただけたこと自体がありがたい」とコメントし、「本当に多くの人たちに支えられ、ここまでやってこられた。正直ホッとした。」と言っておられたそうである。この北村氏の「鷺と雪」はぜひ読みたいと思います。

 メディア全盛のこのデジタル時代、情報が飽和していると叫ばれ久しいが、そんな中でも自分の世界観をしっかりと小説という形態で書籍という芸術に昇華されていることのディテールは、どれだけ時代が変貌しても、価値観が氾濫しても、絶対的に変わらない人の叡智から創出される世界観に、また、多くの人が心で反応するという普遍のふるまいの存在が感じられ、この作品の価値を言わば永続的に確保しているように思います。最後の最後で生命の有限さと芸術や文化の無限の関連性の中に存在していられるというメリットとデメリットが多くの芸術作品を支えているのだと実感できますね。

 例の戦略ありきの書籍とは質量の点で比較にならない素晴らしい作品だと期待しています。