「ROOKIES」という物語

 確かに旬な俳優がこれだけバッチリとはまりにはまった物語はないだろうと思います。原作は読んだのですが、さほど、特筆するテイストは感じられなかった。しかし、テレビドラマから映画の流れは圧巻です。元気のいい若者と野球というこれまたセオリー中のセオリーをここまでの質量に押し上げた俳優陣の能力に心を持っていかれた感覚である。

 いろいろなスポーツがあるが、自分自身にとって「野球」は別格の質量がある。実際、小学生の頃から始めて高校の硬式で甲子園を目指す段階まで20歳になるまでのそのほどんどを「野球」に費やしてきたからである。結果、甲子園の土の上に立つどころか、高校3年でも補欠にさえなれなかったのですが、野球から学んだことがこの年齢になり今もドクドクと心臓に焼きついている感覚はたぶん野球を鑑賞の対象としてしか、もしくは、「野球は楽しい」と感じている多くの野球ファンとは一線を画していると思っています。中学生の頃も野球をやりながら陸上の短距離をしていたものだから、中学3年生で両太腿の筋肉が練習のし過ぎで部分的に硬化してしまい、針治療やマッサージでは結局復活しなかったことがハード的な致命傷であり、ソフト(ハート)の部分では、練習は誰よりも一生懸命にするが、ここ一番の勝負の場面でハートがもろかったことが自分自身でも致命傷だったと思っている。結果、自分には「野球のセンスがなかった」と若い頃は折り合いをつけていたが、年齢を重ねる毎に、結果的にハードの致命傷がハートも崩していたように思っています。それに学び、芸術・デザインの道に進み、同じことを繰り返さぬよう、ハートを鍛えることに貪欲になったような意識がとても強くあります。

 で、「ROOKIES」という物語に出会った。市原君がいい、小出君がいいということ以上に、この時代、野球を描くなら中途半端では困るんですが・・・とチラミした瞬間、この物語のリアリティーにやはり心を持っていかれた。やはり、野球は自分自身にとってただのスポーツではなかったと改めて実感した。

 映画が好調らしいですが、映画館に観に来ている家族づれやテレビ番組のファンといっしょにこの映画を観たいとは思えない。だから、DVDを待ちたいと思っています。夏になると、厳しかった練習の日々が思い出され、あの時の心が少し蘇る感覚がある。高校3年生の時にはもうフルで走ることもできず、後輩たちの練習の手伝いをしていたが、最後まで野球を続けて本当に良かったと思っている。そして、また、夏が来て、甲子園が始まる。大阪で仕事をしていた頃も、仕事の仲間やお客様が「阪神戦を観に行きませんか?」と甲子園に誘っていただいたが、一度も甲子園には行っていない。まだ、あそこに行く気持ちにはなれない。