「24人のビリー・ミリガン」と「異星の客」

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 「24人~」は多重人格という言葉をポピュラーにした問題作。この作品から世の中の不可思議な事件や精神異常を「多重」というファクターで分析・洞察するようになったような風潮を感じます。ハードカバーの頃からとても気になっていた作品なのですが、まだ読みたいタイミングではないとずっと書店に立ち寄りこの書籍を書棚に見てもスルーしていたのですが、ここに来てなんとなく読みたくなりました。「23人の~」も勿論気になっているので、これが読めたらいっきに読みたいと考えております。映画やテレビの番組で「多重人格」がモチーフになっているたびにこの書籍が頭に浮かんでいましたが、その真骨頂がこの上・下の中にあると思うとわくわくします。決して精神世界では「多重=異常」だとは定義していないので、「サイコ=異常」と同じぐらい独り歩きしてしまっている「多重人格」作品の最高峰だと思って読み始めております。

 「異星の客」は言わずと知れたR・A・ハインラインの傑作。どれも傑作だと思っておりますし、他のハインラインの作品は数冊ぐらいしか読んでいなのですが、どれも最高。しかし、この作品とはタイミングが合わなかったのかこちらもスルーしていた作品です。ミリオンセラーとか年度ベストや誰誰が選ぶ書籍ベスト10などではない、時代を超えて読み続けられるSFの古典のような作品ですね。古典などいう語彙は最適ではないのですが、古いのに新しいみたいなフィーリングでしょうか。つまり、SFのタイムトラベルモノとはそれ自体が時間軸を解析しているわけですが、この作品の舞台でもある火星という存在をその科学的な知識と巨大なイマジネーションでアウトプットされた作品。時代観が読み取れるというレベルでは読みたくない、というよりも、時代のタテ軸を一刀両断にぶった切っているってことになるのでしょう。ハインラインクラスだと読み手がどれほど自分自身のハードルを精一杯上げても、その上の上で話が突き進むので、自分自身が持っているイマジネーション力をMAXに上げたところで、その小さい世界観が数ページでぶった切られる感覚がなんともたまらない、そんな、かなり自分の中では純化させた一冊なのです。