人間の感覚。

 ナノの世界で完全に近い平面を造るためにはどのような方法が最適かという話題のテレビ番組がありました。普通の発想ならたぶん精密機械で制御された精密な旋盤のようなモノで表面を削ればフラットな平面ができると思っていたら、機械には限界があり、ナノテクノロジーの世界ではどんなに精密な旋盤を駆使しても平面はできないらしい。よりも人間がノミのような道具で面を削り、そこにパテのようなモノを塗り込みさらに削り塗り込みという作業を繰り返すことで完全に近いフラットな面を造ることができるらしい。どんなに精密な機械よりも人間の触覚や視覚などの感覚は鋭く、ひとつひとつの機能はおおざっぱでもそれらが複合的に機能することで、精密機械よりも精度が上がっていくらしい。

 で、「精度」のベクトルで言えば、デザインの仕事もそういう視点が深く関連しているように感じました。DTPデータなどもソフトウエアとPCを駆使すれば完璧な視覚的に管理・制御できない部分までクリエイイトできると頭では理解しているし、実際、0.1ポイント以下のラインなどアナログの道具で引くことは不可能ですし、1000本の平行線を1mm間隔に正確に引くことはできない。だが、人間の持っている感覚はそれらの機能ではできない微妙な色のバランスや形状の組み合わせをしているわけで、数値的なデザイン作成作業のアプローチではできない感覚のデザインこそが、人の心に響くのだろうと考えてしまいました。極端な例かもしれませんが、こうしてキーボードで入力している文字列もソフトウエアだけでは絶対に作り出せないということになる。それを読むということも実はその次の何かに深く影響しているのだろうし・・・。人間の感覚というのは誠に素晴らしいということですよね。

 デジタル時代だからこそあえてこの「人間の感覚」という部分がよりクローズアップされてくるように思います。