芸術作品の物々交換!?。

 「すてきな芸術品を交換しませんか?」というアプローチを海外移住と文化の交流センターを運営する特定非営利活動法人「芸術と計画会議」が展開しておられるらしい。芸術家の作品を観客が持参した「すてきなもの」と交換するプロジェクト。芸術と市民の距離を縮めることが狙いだそうです。ドイツの芸術家2人が同センターで写真やCDや本などの作品展覧会を開き、同期間中に物々交換会を開催されるらしい。観客はなにか「すてきなもの」を持ってくれば、芸術作品と交換できる。すてきなものとは、自分で撮影した写真や歌、踊り、料理、自分の好きな場所に案内するといったモノ以外でもいいらしい。海外移住と文化の交流センターは、ブラジルなどの南米に渡る移民が渡航準備のために日本で最後に過ごした「旧神戸移住センター」を改修し、国内外の芸術家のアトリエスペースがあり、市民と芸術家との交流の場所として有効活用しているらしい。

 このプロジェクトにどうやら裏表は存在しないように感じる。芸術が高価な価値ある存在として歴史上に遍在する時、必ず、どうしてもこの部分が多かれ少なかれ存在している。だからこそコレクター達が価値の上に積み重ねた目に見えない価値を争う構図。これは芸術の歴史の一面でもあるが、現在、今、生きているる人にとって芸術とは?という価値を分解したなら、この芸術作品とすてきなものとの物々交換はひとつ面白い魅力的なアプローチであると感じた。

 昔、N.Y.で滞在していた時、大学の寮の警備員がジャマイカの人だった。学校が終わる夕方頃、知人も少なかった私は寮の入口のところで警備している彼とたどたどしい英語で楽しい時間を過ごした。何かのきっかけで彼の似顔絵をノートに描いて進呈した。翌日、彼はこれがジャマイカの弁当だと言って持ってきて食べさせてくれた。魚とフルーツとパンだった。あの味は私にとってのまさに「すてきなもの」であり、死ぬまであの瞬間のこと、あの魚の味は忘れることはないだろう。