グーグルド@ケン・オーレッタ著

 電子図書館構想や中国での検閲問題など、ネット分野での話題にことかかないグーグル。検索、電子メール、動画共有などなど、情報サービスは我々の生活に欠かせない存在になった。一方で新聞や放送などの既存メディアにとっては非常に手ごわいライバルだということになっている。「邪悪になるな」とはグーグルの創業以来のポリシーらしいが、最近では批判的な視線が向けられている。電子図書館やデジタル地図上の街頭写真サービスなどに対してだろう。ネット時代のメディアの姿を直視するためにこの書籍は意義は大きそうである。

 小さい火は人に幸福を齎すが、大きすぎる火は不幸を呼び込む。かの有名な風の谷の民の言葉である。まさにである。腐った海が毒素を浄化するとは潮流の側面だとしても、薬と毒の違いは本来人間のさじ加減ひとつ。薬なのか毒なのかを見極める視点こそがグーグルを邪悪にも正義にも替える。メリットとデメリットの相関こそがマテリアルだと言える。結局、そこそこ便利なら正義でとてつもなく驚異的な便利なら邪悪となる構図に人間の性を感じずにはいられない。どこまでも合理的な一個体の脳の中で新しいメディアがどう機能しどう次へシナプスをつなげていくのだろう。メガネをはずしてよくみれば、3Dもただのずれた2枚の画像。それのどこにリアリティーがあるのか?