クリムトは落ち着きますね。

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 仕事で姫を描くものだから、そのリサーチで、いろいろサイトを見ていて発見したクリムトの作品。今回の「姫の肖像画」は透明水彩とガッシュ(不透明水彩)の併用なのでそれぞれの画材の色彩の特徴を踏んで描写する必要がある。最終的には大きな看板用の出力であるためにある程度の緻密性が必要です。しかし、緻密に描くだけでは絶対に出せない「優しさ」とか「温かさ」がホンマルだと、描き方や最終仕上げに至るまでの表情やモデルの捉え方を何パターンも頭の中でシュミレーションしています。つまり、まだ鉛筆による下描きの段階ですが、すでに、どこから着色して全体の仕上がりや着物のパターンなどを透明水彩から不透明水彩に移行するタイミングも含めてシュミレーションしています。

 これがチグハグになると、ディーテルばかりか表情を描くまで到達しない。表情について下描きの段階で決まっているようなものだと思いきや、実は、最後の最後のひと筆まで表情はどうにでもなる。だから、着物の色彩や肌の透明感や「優しさ」と「温かさ」を一枚の作品に注入するには相当緻密なプランが必要なのである。そして、緻密なプランがまとまった段階で、もっとも大切なこと。それは、その自分がたてたプランの中でどこまで感覚的になれるかが絵の仕上がりの「のびしろ」を左右する。そこが何より描き手のポテンシャルの部分ですね。何事も白紙から始める作業ですから、プランとポテンシャルが作品の完成度を決めるのです。

 これは、これまで仕事やライフワークで何千・何万枚のイラストや絵を描いてきましたが、どれも緊張感いっぱいです。多くの不安もあるし失敗もある。しかし、ただの一度も成功がない。だから、次の一枚に向かうことができるのです。この醍醐味はこの仕事を実際にやっている人としか共有できない。趣味で絵を描いている人達とは絶対に共有できない厳しいガチの部分です。だからこその部分で、自信もあるし不安もあるということ。何事もそうなのでしょうけれど・・・。

 しかし、クリムトの色彩は落ち着きますね。素晴らしい作品です。この作品は知らなかった・・・。