強い物語。

 「物語には続きがあります。面白い物語にふれ、圧倒的な物語に身を委ね、ただ無心に活字を追った一冊には、あなたの想いがきっと宿っているはずです。その一冊に触れている時の風景、心の動き、そして物としての手ざわり。物語を紡いだ著者の想いに、あなたの想いが重なったとき、「本」はかけがえのない宝物になり、「物語」が受け継がれていくのです。」~あるパンフレットより抜粋~。非常に的を得ている素晴らしい文脈である。さすが危機感のある出版社のコメントは重く深く継続性が高い。訴求力があるというか覚醒力があるというか。たぶん、多くの出版社はこれらの想いを書籍に込めてきたのだろが、時代が書籍から電子書籍に流れようとしている現代、この言葉は悲痛なニュアンスさえ感じてしまう。物語は確かに続いている。例え著者が他界されたとしても書籍に込められた想いは一冊の書籍の中に刻印され、読み手をどれだけ時代が廻ろうが待っている。それが書籍である。それにはどうしても「手ざわり」が必要不可欠だと思っているが、それも時間の問題かもしれない。「手ざわり」など要らない。知覚だけあれば脳は満足だという割合が増えれば「手ざわり」は「想い」から引き剥がされるのだろう。それを一番最初に込めた人の想いといっしょに。そして、永く繋がってきたスパイラルさえそこで事切れてしまうのかもしれない。その中にも「強い物語」が継承されることを心から願っている。