うなぎ屋さんのタレ。

 昔からずっと営業しておられる料理屋さんで、もう何代も続いているうなぎ屋さんのお話。何十年も営業をしてこられてると、それこそ、戦争の時とか関東大震災の時など、お店が地震や火災の被害を受けて避難しなければいけない状況がいろいろあったそうです。そんな時、そのお店の先代様はかならずそのお店に代々伝わる秘伝のタレの甕(かめ)を抱えて避難されたそうです。自分の命が家族の命が危ないという危険な状態に銀行の通帳でもなく現金でもなく被災ツールでもなく、そのお店に代々伝わるタレの甕(かめ)をこぼれないように密封して抱えて避難したそうです。つまり、そのお店のご主人にとって命の次に大切なものが秘伝の味を継承してこられたタレだということ。う~ん、凄まじい職人・料理人スピリッツ。先代が試行錯誤して作り溜めた愛される味はいわばお店のご主人の命なんですね。レシピとしてのデータは頭にどこかに控えておられるでしょうが、それでは全然不十分なんでしょうね。

 そうかそうか、デジタル時代のコピー文化に情報過多なテクノロジー時代の効力が及ばないガチにリアルな宝物や財産とはそういう唯一無二の何かなのですね。例えDNAが解析され、人間の設計図が完成しても絶対に人間らしいものであり、人間ではない。SF映画のようなお話ではありますが、逆に人が培ってきた経験から現世に残っているリアリティーこそが唯一価値のある意義のある存在なのですね。この法則を理解していれば、それぞれの仕事の現場で何に取り組み何を残し何に意義を感じ何に邁進すればいいのかが見えてくるような気がします。デジタル・ネット・コピー時代に絶対に複製できないニュアンスやフィーリングやタッチやディテールこそが価値の中の価値なのでしょう。

 だからこそ、蒲焼きが美味い・・・と。世の中で一番好きな食べ物がこれなので、ちょっと、無意味にも大人気なくテンションが上がってしまった・・・。