緊張MAX。

 まず、私が書店のレジのところで待っている状態での風体は、丸坊主、無精ひげ、オレンジ色のTシャツ、ヒザが破れているパンツ、そして、トレッキングシューズ。この状態で私はレジに並んでいました。すると、すぐ右どなりにある、書籍を検索できるサービスで突然「どないなっとんねん!」というおっさんの叫び声。ゆっくり右を向くと、太った50歳ぐらいのおばはんと私よりちょっと背の低い派手なアロハを着たちょっとパンチの効いたおっさんがそのコーナーで叫んでいる。おばはんはたぶんこのおっさんのカミさんだろう。どうやら10日以上前に注文した文庫本が何故まだ到着していないのか?というお話のようで、そのおばはんはその検索コーナーに常設の椅子にふんぞり返っている。まず、この夫婦がどのような文庫本を読むのか興味があったのでしばしその会話に耳を傾ける。すると、「注文した時にここにいたねえちゃんはどこにいる?」と叫ぶおっさん。さらに、「わしらは客やぞ!椅子持ってこい椅子!」という始末。慌てて別の店員さんが事務用の椅子を持ってくる。その二人をじろじろ眺める他のお客達。その視線を感じてかおっさんが「おらおら、何をじろじろ見てるんや!わしらは客やぞ客や!」。その二人を見つめる冷たい視線をこのおっさんはエネルギーに変えて小さく爆発を繰り返す。すると、一人の女性店員さんが来て、「このたびは~」というビジネストーク・クレーム対応の始まり。

 そうこうしているうちにレジが開き、いつも流れで財布からメンバーカードを若い男性店員に渡して、購入する本をレジに置く。すぐ右どなりで展開されるクレーマーの爆発にその若い男性店員さんは相当緊張している表情が窺えた。別にこの男性店員さんは緊張することなみじんもないのですが、おっさんがプチ爆発を繰り返すものだから、レジ付近の緊張感を一気に吸いこんだ感じの男性店員。その男性店員の表情も気になるし、右どなりの馬鹿夫婦も気になる。ちらちら見ていると、その店員さんが、「ブックカバーにしますか、ポイントにしますか?」と聞いてくる。私は書籍にカバーはしないので、「ポイントでお願いします。」と伝える。すると、この店員さんに妙な間があった。あれ?何か変なことを言ってしまったのかな?としばし冷静に考えていると、その店員さんが「メンバーカードをお願いします。」と言う。あれ?さっき、一番に渡したはず、私もこのレベルのうっかりは日常茶飯事なので、財布を確認する。が、確かにさっきメンバーズカードは渡している。で、「あの、さっき、渡しましたよね?」と伝えると。カードリーダーを即座に確認してその男性店員さんは深々と陳謝される。「誠に申し訳ありませんでした。」と。あ~あ、この馬鹿夫婦の爆発で完全に緊張しているんだなぁ~と読みとれた。

 そんな最中でもこのおっさんは何故10日前に頼んだ文庫本がまだ到着しないのかをネチネチと女性店員さんに迫っている。パソコンで検索している最中も、周りの客にプチ爆発を繰り返すおっさん。ちょっと、あまりにも店内の雰囲気が悪いので、おっさんを凝視した。そして、目があった瞬間に舌打ちをして完全におっさんをロックオン。そんな私を見上げるおっさん。2~3秒その状態を経て、おっさんから目線を反らした。そして、そのおっさんのボリュームは普通レベルに戻った。

 それを見ていた男性店員。お金を支払い、領収書をお願いすると、引き出しから手書きの領収書を取り出し、宛名と金額と但し書きをして領収書を破き始める。そこで、「あの、係印を頂けますか?」というと、慌ててハンコを別の引き出しから出してきて押す店員さん。これがまた、朱肉が乾いていてうまく押せない。3回目でなんとか押せたのですが、まだかすれている。でも、まぁいいかと「ああ、それでいいですよ、ありがとうございます。」というと、ホットした表情で領収書と書籍を渡してくれた。領収書も書籍もお釣りも頂いたがまだメンバーズカードは返して貰っていない。ので、しばらく、私が店員さんを見ていると、一瞬で緊張がMAX。目が泳いでいる。「あの、会員カードを・・・」というと、はじかれたようにカードリーダーからカードを排出して返してくれた。「君はカード忘れ過ぎ!」と心でツッコんで書店を後にしました。

 メンドクサイお客ですいませんでした。しかし、あの馬鹿夫婦が注文した書籍の名称を確認できなかかったことだけが悔やまれる・・・。