ワラビー君が寂しい!?

 よくあるテレビプログラム。親が病気で死んで孤独なワラビーの子どもがいた。カンガルー系のそのワラビー君は本来ならまだ母親のおなかの袋の中で育つはずなのに外に出されてワラビー君は母親の愛情に飢えている。そして、その境遇から神経質になって飼育員と心を通わせることができていないと・・・。うん?それは全て本当か?誰に聞いたのか?病気で死ぬ間際のワラビーのお母さんがそうつぶやいたのかそれともその子どものワラビー君が「寂しい」とでも言ったのか?まったく、これらの設定に根拠がない。全て人間のエゴ。で、それがしゃらんとテレビの番組なり、ナレーションが流れ、雰囲気たっぷりのBGMに高揚・感動する視聴者・・・みたいなことがしたいんだろう。安易でありナンセンス。そんなにテレビの向こう側の視聴者の心は単純ではないぞ。それが仮に視聴率を獲得するテッパンのノウハウだったとしてこの脚色というか演出は安易すぎないか?それに呼応するタレントもタレントで、しっかり表情を創りワラビー君にうるうるの視線を落とす。

 別にワラビー君はそんなの欲しいと本当に思っているのかな?番組の尺の後半でそのタレントに近づきまるで母のお中の袋の中で安心して眠りにつく・・・みたいなことでオチ!?そんな動物を擬人化し過ぎでしょう。そんな視線で動物も人間も同じように描くから感動音痴続出なんじゃないの。人間は人間、動物は動物でいいじゃん!そこまで愛情表現を捻じ曲げてまで視聴率が欲しいのか?まぁ、テレビプログラムなどフィクションだからこれでいいっちゃいいが、ファンタジーならファンタジーでもっとガチで創りこんで欲しいなぁ~。安いロケで安い設定で最低限のナレーションとタレントの起用で効率的なコンテンツを創り過ぎ!

 で、ゴールは母の愛情を得たワラビー君が他のワラビー君のオリの中に返すことだって。動物使って適当に演出して感動音痴な視聴率を獲得して自分のポジションを確保しているだけ。それは決してクリエイティブではないぞ。ワラビー君は可愛いし、そのタレントさんも可愛い。が、そのシナリオで舞台を完結させるには設定不足。イモトさんの世界の珍獣達とのガチのリアルの方が数億倍楽しい。動物を描くなら、福島で放射線にさらされながら放置された家畜達にスポットをあてたら?福島の海岸で屍をつつく海鳥達の逞しさを描いたら?放射線を受けた海洋の魚や生物達の気持ちを代弁するプログラムを作ったらどうでしょう?そこをスルーして温室の中で生まれたペットの赤ちゃんを並べて「可愛い可愛い」のバーゲンセールではそろそろ感動音痴の人達も飽きてきますよ。

 本当にワラビー君が寂しいと思うなら、故郷に返してあげてください。