日本を脱出する本。

 ダイヤモンド社から「日本を脱出する本」というのが出ている。あまりこの著者の方は存じ上げないが、なかなか極端な切り口かなと思いきや、いやいやそうでもないような気がしてくる微妙なニュアンス。そうかそうか、出版社として書籍を売るためにこういうニーズを設定してこの角度から書籍を企画して出してくるのか!みたいな意味と価値でやりよる。短期の海外移住から永住までを案内しているらしく、知識がゼロでもこの1冊で海外生活ができるということらしい。この書籍からの抜粋を読めば、「円高は日本脱出の絶好のチャンス」「旅行の延長で3ヶ月だけ海外移住する」「海外で働きながら生活する」「子どもの安全・教育のために日本脱出」「老後は何もしないでゆっくり暮らす」などとある。また、「放射能汚染、国家破産、増税、リストラ、いじめ・・・。日本に居づらくなったら、海外へ行くいう選択肢もある。」と言いきっている。確かに、さて、今のこの国の未来に何を描けるか?未来を描く安定志向のこの国の人々でさえ、どう考えても未来は暗いぞ。文化・経済・教育・産業と何かにつけて「復興」「再生」と活字の上ではモチベーションが高いみたいだが、実際、国民は冷静にこの事態を分析しているだろう。すると、この「脱出」という選択肢は決して妄想・幻想ではない。かなりのレベルでリアリティーのある選択肢のように思いますね。

 苦しい時だからこの国に残ってみんなでひとつになり頑張ろう!と言うのは簡単であるが、なかなか、厳しい現実はある。やる気のない人、私利私欲モードで軸のぶれている人、環境問題もエネルギー問題も特に関係なく危機感の薄い人が脱出するなら、少しは精査されるだろうが、実際はその逆だろう。日本の頭脳と言われている人達は全て海外の企業や大学の研究室で成果を上げている。つまり、ずっと叫ばれている空洞化がいよいよラストスパートということだろう。で、出て行く人は比較的、見えている人であり、できる人達なのである。この国に固執しているのでもなく、この国を愛しているのでもない、この国に依存している人が残っている構図が否めない。愛国心と依存心を混同しないことである。

 で、10年後、日本はどうなっているだろう?それを思い描くとゾッとする。そもそも、政治や行政の人間が無能であることはいいとして、本来、才能と志を持っている若者がその能力を発揮できる社会なのかという軸でこれからの10年間を捉えるべきである。社会構造が私有から共有へ移行せざるをえないのは獲りあうモノが絶対的に少ないからである。世界的に見ても失業率は低い方だろうが、それでも、個体としての能力ののびしろは現在の情報に網羅・列挙されている物理定数だけで安易に判断はできない。

 さて、この書籍の中のリアリティーはどんな感じだろうか。とても、気になる一冊ですね。