福島千里さんのアメンボ走法。

 福島千里さんのあの世界陸上での雄姿はそう簡単に忘れることができない。彼女を育てたスポーツクラブのコーチの書籍にはこう書かれている。「福島千里選手の最大の武器は「脚のスイングスピードの早さ」。脚の回転数が早く、上下運動も少なく音もたてずにスーッっと進む走りは、まさにアメンボ走法ともいえる。この脚のスイングスピードにこそ、圧倒的な筋パワーをもつ黒人選手を相手に、日本人が互角に戦うための活路があるのかもしれない。」と。また、その著者の言葉の中に、「私がこういったユニークな練習方法をいくつも考え出せたのは、「陸上の練習とはこういうものだ」といった固定観念を持たず、常に、「何かいい方法はないか」を、シンプルに考え続けてきた40年ともいえる。本書は、私のそういった40年間の挑戦の記録である。日本人がいままでに見たことのない「最速の世界」とはどういうものかだろうか。そのほんの一瞬の世界にこれまで私は懸けてきた。そしていま、福島の登場とともに、この「最速の世界」の扉に日本人の手が届きつつあると感じている。圧倒的な筋力に勝る黒人選手たちを相手にした場合、日本人が同じようにパワーで勝負しても歯がたたないのが現実だ。だから、これまで世界のトップから、大きく水をあけられていたのだろう。しかし、日本人には日本人の戦い方があるのではないだろうか。それを体現しつつあるのが福島だと思うのだ。陸上の短距離種目、それも100mは民族の可能性への挑戦でもある。私たち日本人はどこまで速くなることができるのだろうか。その限界への挑戦が100mなのだろう。私はいま、その可能性を福島に見ている。その最終目標は、五輪での決勝進出だ。いつの日か日本人が、五輪100mのファイナリストになる日がくるだろう。決勝のスタートラインに立つ8人の中に、黒人選手にまじって、一人だけ日本人が立っている。(ただ書籍をコピーしているだけですが、何回読んでもこのあたりでどうしてもどうしても涙が出てくる。khuz)そんなシーンを思い浮かべるだけでワクワクしてこないだろうか。そんな夢に懸けた私のこれまでの取り組みを、本書では初めて明かした。選手たちの能力を引き出すための指導法や、多くのスプリンターを育てたさまざまな中村流の練習方法とともに、陸上競技短距離種目の奥深い世界が少しでもみなさんに伝われば幸いだ。北海道ハイテクAC監督 中村宏之」とこの書籍の序文は締めくくっている。

 今更この歳で100m競争に対する熱意について自分に置き換えることは不可能ですが、この監督が取り組んでこられた努力のお話やそれを受けてスタートラインに立った福島千里選手の思いや能力は知れば知るほど身体の真ん中が熱くなる。いろいろなスポーツをやってきたが、私自信は100m走が一番好きである。大した記録もないし本格的に陸上の指導など受けたこともない中途半端な短距離走経験者ですが、どのスポーツ・競技よりも「100m走」に心を奪われている。もし、機会があるなら、90歳で、エントリーしてあの直線を走れればゴールで倒れてそのまま他界しても本望である。

 もし、福島選手が五輪で決勝のスタートラインに立ったら日本人のどの金メダルよりも価値があると思っている。それは、つまり、他の競技性にケチをつける気持ちはないのですが、何よりも、どんな競技よりも、100m走というのはガチだからである。