「あなたの中の異常心理」について。

 異常心理の危険度チェックということでこのようなQがある。それは、「完璧にこだわり、白黒つけたがる。人の顔色に敏感で、見捨てられないかと不安だ。愛する人を自分のものと思ってします。親子関係がぎくしゃくしたり、親に過度に支配されている。依存しやすく、感情のコントロールができない。」など。さて、この質問にどのように対峙すればいいか。まぁ、これは新聞の紙面でのライティングですから、どこか広告としてフォーカスしている文脈ではあれど、このチェックリストに5つともチェックを入れてしまうような人っているものなのだろうか?それともこれは広告の手法としてちょっと切り口のエッジをたてているだけ?

 また、本文コピーとして「誰もが心にとらわれや不可解な衝動を抱えている。そして正常と異常の差は紙一重でしかない。本書はそんな現代人の心の闇を解き明かす。完璧主義、依存、頑固、コンプレックスが強いといった身近な性向にも、異常心理に陥る落とし穴が。ストレス社会をうまく乗り切るための、現代人必読の異常心理入門。840円@幻冬舎」である。さてさて、この処方箋は薬か毒かみたいな。

 そもそも、正常な「心理」とはどこを基準点にすればいいのか?という考察が未設定のまま、いきなり、愛する人を自分のものだと思うことが異常心理だという仮説から入らされると、全てが異常だというテイにならないだろうか。逆に人間の正常な心理とはという部分をしっかりと古今東西の基準を確立させて、現代の闇を語るべきかなと。

 ナイフで腕を切りました。これは傷口が深いから5針縫う必要がありますと診断されて麻酔から縫合に至る間、人間はこの傷のことを考える。何故腕を切ってしまったのか?このままだと出血が止まらないし縫合しなければ傷口の治癒が遅れるばかりか、化膿する可能性が高くなる。だから、殺菌と化膿を止める薬を施術してもらいながら、自己治癒力を待つ。例えばこれがナイフの傷口に関する一般的な捉え方。では、腕を人間の心理に置き換えるとどうか?予期せぬ言葉を浴びせられ心に傷がついた。このままこの傷を放置しておけばこの傷が別の正常な心理に悪い影響を及ぼして正しい心理状態を維持できなくなり、日常生活やモラルや規範を維持できなくなる可能性がある。だから、カウンセラーに相談してこの傷について分析・洞察・治療をお願いする。そのプロが書いた著書がこれだから、その数多のノウハウがこの書籍にはちりばめられているはずだという推定。

 ここまでは恐らく誰でも多かれ少なかれ思い至る場所。でも、世の中に氾濫している「正常」と「異常」について、まして、心理的な意味でこうだからこうだとか、こうならばこうすればいいという処方箋はケースバイケースだから簡単に容易に成立しにくいような気がする。完璧にこだわり、白黒つけること。人の顔色に敏感で見捨てられないかと不安になり、愛する人を独占したいと思い、親子間のぎくしゃくな、時に支配(愛されている)されているという誤解も、依存したり、感情のコントロールが不安定になること、これらはすべて人間の心の特長・特質である。確かに紙一重という部分で人は生きているが、これは正常、これは異常と分けなくても心は大丈夫なような気がします。専門家ではないので、何の根拠もありませんが、人の心はそんなに弱くないような気がします。これは現代人の異常な心理なのかな?