自滅。

 「先延ばしで後悔しないたまの新しい経済学 自滅する選択 池田新介著」という大阪大学社会経済研究所教授(行動経済学会会長)という書籍がある。第55回「日経・経済図書文化賞」を受賞した書籍らしいが、この紹介文には「夏休みの宿題を後回しにする人は、禁煙・ギャンブル・飲酒の習慣があり、借金があって太っている確率が高い!最新の行動経済学と心理学で、目の前の快楽になびいて後悔する、人間の本能ともいえる選択の癖を分析。回避する技術を教えます!」と言っているそうである。さすがなんとか賞を受賞するだけあって、然るべき機関をしっかり意識して文脈を整え、適正なデータを適正な目的に向かって論じていそうである。結論から言うと、この本は買わない。

 まず、軸足が「自滅しない。」という偏りを強く感じるし、そもそも、人間の本能がジャッジする選択に規律や規範を設定してこれはいい、あれは悪いとするのは簡単。自滅しているか否かをチュートリアルに沿って感じたとろこでそれは自滅を回避しているとは言えないような気がする。まぁ、この書籍を読んでもいないのにこんなことを言っていること自体が自滅型なのかもしれないが、これが人間の本能だから仕方ない。強制されれば「自滅を回避したと誤解」するのは簡単だが、その向こうの景色は見えない。そして、絶対的にリアル世界も心理の世界ももっともっともっと広い。どんなデータを列挙しているか知らないが、優等生が書いたどこかの書籍のオマージュレベルだろう。

 逆にリアルでも精神世界でも自滅に向かうベクトルでしか得られない本能の「ひずみ」や「誤差」や「摩擦」や「さび」や「ゆがみ」を知ってこそ人間のなんたるかに近づくような気がしますが、いかがでしょうか?私自身、「夏休みの宿題を後回しにした人間」だし、「喫煙もギャンブルも飲酒」もしている、まぁ、太ってはいない(脂肪率14%)から、何もかも擲って快楽に猛進してはいないが、自分の中の「自滅」がなんたるかを考える暇があれば、手を動かしたいと考えています。