10分あれば・・・。

 メディアファクトリー新書から出ている書籍ですが、まぁ、自分自身が書店が好きだから・・・という理由もありこのアプローチの書籍に魅かれていることは間違いないのですが、それでも、なかなかの書籍のような気がします。あえて・・・というか、何周も回っていると結局ここに辿り着くみたいなこと。

 「10分あれば書店に行きなさい」という教育学者 斉藤学著の書籍なのですが、まず、「本屋さんはこんなにいい。」という下り。「本は、著者の膨大な情報と精神力が注ぎ込まれた「刺激物」である。それらが揃う「書店」は、人類の知的エネルギーが集積された刺激的な空間だ。」とある。これは誰も曲解する余地はないだろう。特に「精神力」が注がれているのが書籍であり、タブレット&PC経由の情報に精神力が注ぎ込まれていないとは言わないが、「著者の精神的エネルギー」を具現化できているのは書籍という在り方が最も適正な気がします。

 「書店で本を選ぶときは、1冊せいぜい1~2分で判断する。10冊ならば脳は10~20分間フル回転するから、かなりの集中力トレーニングが自然と実践できてしまう。」と、この部分もなかなかいい。確かいに1冊を判断するのに2分は短いが、その間、一冊の書籍を分析する時、かなりの集中力でチェックしていることは実感できるはず。目的を持って行っている場合、その目的にどの書籍がマッチしているかを判断する時、かなりのエネルギーを使っている。特にソフトウエアのテキスト本などは、仕事にダイレクトに繋がっているわけで、知らない技術や目的のコンテンツを作るための技術などは、ネットでリサーチできる場合も多いが、意外と(慣れかもしれないが・・・)書籍の方が的を得ている場合が多いし、短時間に欲しい情報を獲得したい場合は書籍が有利なような気がします。

 「「新書」は全ジャンルを扱うから、新書コーナーを見るだけでも有益な情報を仕入れられる。印象的な書名の本は内容を把握しておくと、仕事相手からも一目置かれる。」なるほどなるほど、それはある。これについてはネットの方が早いと捉えてしまいがちだが、早いことは早いが、ネットの情報はまとまっていないことが多い。早い情報のディテールが浅いと逆に整理するのに迷うことが多い。

 「旬の人をチェックするために、雑誌のコーナーでいろいろな雑誌のインタビュー記事をチェックする。心に残った発言を雑誌に織り交ぜれば・・・」という旬をリアルに体感できるのも書店の特長。

 「ビジネス書のコーナーには、自分の欠点に気づかせてくれる本が多い。しかも本は読者を叱責しないし、人前で恥をかかせることもしない。優れた「師」を探せる。」と。確かに、ネットのコミュニケーションには一見、主観的な純粋なストレートなコミュニケーションができているようだが、実は、とてもメンドクサイ会話や摩訶不思議なルールやフェイクが多いのも事実。これらにモチベーションを浪費するよりも、一冊の書籍と向かうことで集中力が高まるとも言える。

 「書店で本を買ったら、近くの喫茶店ですぐに読み始めよう。読みたい欲求が最強なのは購入した直後だから、ざっと目を通すとお蔵入りにならない。」確かに、いつでもどこでも閲覧できる電子ブックのスタイルは逆にテンションが維持できない。書籍を読みたいというTPOがあって脳のモードが切り替わるわけだから、それに適正な存在感は書籍の他にない。

 学生の頃から時間があれば・・・というか、何か考え事をする時やもやもやしている時も目的がない時も書店にいることが多い。落ち着くということでもないし、刺激が豊富だということでもないが、なんとなく書籍や雑誌の表紙を見ているだけで頭と心がいい状態になるような気がします。今まで体験したことのない趣味や競技の類も、ネットで映像や写真を見ることも多いが、著者が整理したその手の書籍の文脈には確かに情熱がありますよね。