舟を編む。

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 いよいよ映画「舟を編む」が公開される。宮崎あおいさんと松田龍平さんがよくテレビに登場している。映画の宣伝で辞書づくりについてのコメントがどこか時代を象徴していて書籍が売れた理由であれ、恐らく映画はヒットするだろうサインのようなものを感じています。

 辞書について言えば、主人公馬締さんほどではないが、私自身も書籍の中でともてリスペクトしている。というか頼りにせざるを得ない状況が人生の場面で何度も繰り返されていることは間違いないし、辞書を紐解いている時のドキドキワクワクする感じはまた勉強で新しい世界が見えて来る感覚やいろいろな書籍を読むことで原理や海外の慣習や創作を知ることとは違った側面があるように感じている。確かに辞書を書籍として読むということはあまりされないがだろうが、結構、何かデザインの仕事や言葉のチョイスに迷った時に一番ダイレクトにレスを返してくれる書籍は辞書だ。百科事典も好きだし専門書も好きだが、辞書はやはり特別な書籍だと言える。新しい言葉や生業の意味を多面的に客観的に記した辞書というツールは辞書だからこその価値がある。それを編纂するを物語にしてしまう三浦しをんさんがまず素晴らしいということ。それを世の中に出そうとした編集者・出版社の心意気がまたまた素敵。そんな素敵が幾重にも重なり蓄積した結果がこの映画なのだから、まさに、「舟を編む」ということだろう。書籍はかなり早い段階で読んだから時代が何を求めているのか?という大きなテーマについても読み方によっては見えて来る素晴らしい物語でした。

 一方、本屋大賞なるものがある。本屋が選ぶ書籍のアワードであるが、2012年は1位が「舟を編む」で、第2位が「ジェノサイド」だった。これは読んでいるのでこのアワードもなかなか素敵なシステムだなとは感じているが、2013年の対象が「海賊とよばれた男」だと今日知った。この作家、まぁ、好みで言えば、読む気がおきない。読む気がおきないのだから読まないのですが、全部読んで読む気がないは成立しないわけで、何がきっかけでこういう結論に至ったのかとなると、数年前、ある強烈な書籍の評論を読んだ時、この方の小説の素晴らしさを非常に巧みなコピーライトで表現していた。それを信じて!?初めてこの方の書籍を買った。読んだがとても残念だった。その残念の度合いが半端じゃなく、なぜこの内容でこう書くのか?と全く残念極まりないことになってしまった反省から、その後、どんな宣伝コピーで心が動いてもこの著者の書籍は読まないと決めた。結構、そういうパターンは多く、かなりの数の日本の小説家の作品は1冊で終わっている。現代を代表する小説家のほとんどにこの残念な感じを抱いており、この「海賊~」の著者もその仲間入りをしたというだけ。ほんと、残念。

 だから、書籍を選ぶ時はやはり、宣伝文句を信じずに自分の感覚を研ぎ澄まそうと考えている。しかし、新しい著者にダイブする時はとにかくリサーチしなければいけないから、無作為に1冊を読みジャッジするしかないのが正しい探し方だし、逆にこの著者の書籍はもう買う必要がないと判断できる方が無駄がないと思います。

 で、そんな現代の小説家の薄い感じと比較して圧倒的な筆力の三浦しをんさんという存在が際立つというパワーバランスなのである。もう、独壇場と言ってもいいぐらいで、恐らくそれを他の小説家の人達レベルになると完全に理解していると想像する。それって、「個性」と「アイディンティティ」で自分を納得させることができるのだろうか?それても完全白旗モードで自分のできることをやりましょう的な黙殺で日々の構想と執筆に向かっているのだろうか。それはそれで同じモノカキのプロとしてかなり辛い状況のように思います。

 まぁ、そんな大それたことを言いながらも、あたりとはずれを繰り返すことで、自分の中で際立たせるコレクションを1冊でも多く蓄積したいというのが本心である。

 昨晩、ひさびさに映画「羊たちの沈黙」を見た。「サンキュー、クラリス。」う~ん、この映画が20年以上前の映画だとは年々この偉業・金字塔・バベルの塔に舌を巻く。最後の最後のエンドロール後の「心地良いさえずり」まで聞いてしまいました。