色彩がわかれば絵画がわかる!?

 「すべての色は三原色をもとにして作られる。四色でも二色でもだめなのはなぜか?そもそも色とは何なのか。色彩の理論をシンプルに学び、絵画的な知性を養う一冊」という書籍がある。また、同じ著者が「構図がわかれば絵画がわかる」という書籍を出している。どこの誰かは知らないが。でも、「色彩」や「構図」が絵画の何かを語る糸口だったことは読み取れるし、この著者が恐らく絵画に精通しているということも分かる情報だ。三原色についての理解を深めても、芸術やデザインや建築におけるカラーコーディネイトの仕事をしている人以外に何の役に立つ?が一般の心理だろうから、よほどこの著者は「色彩」と「絵画」を連動させたかった衝動がこの書籍には閉じ込められていると期待したい。そして、「絵画が分かる」というニュアンスがこのタイトルだけでは判断できなから、「買ってみようかな?」となるかならないかが問題だ。私は買わないが、いったい「絵画が分かりたい人」とはどういう人だろう?何故、絵画が分かりたいと感じるのか?それが一番のこの情報に対するコアの部分だ。色彩を知り、成果物としての芸術を自分のモノサシで分析・検証する術を会得し、それを別のコンテンツに適用したいと考えた場合、このふるまいにどんな価値があるのだろう。

 勿論、「絵画が分かる」ためには、色彩以外の知識もいるだろうし、自分で得た経験値の中から、絵画の価値や在り方の座標を決めなければならない。そこまで適正に設定できたとしても、確証や根拠はないはずだ。すべて五感から入った、ただの情報でしかないのだから、実態に対して間接的な客観的な情報のディテールでしかない。そもそも自分の中にあった確証と、外部情報として取り込んだ確証。この連鎖のルールをいくつ持っているかで、「分かる」の振幅が異なるのだから。

 まぁ、この著者は「絵画的な知性を養う一冊。」と書いてしまっているので、「分かる」の振幅は震度1ぐらだろう。