ことばの選び方。

 手元にある「語感辞典」のまえがきに「ことばの選び方」という文章がある。

 ことばを選ぶのは、伝えようとする情報だけではない。当人の意図とは関係なく、その事柄を選び、そんなふうに表現したその人自身の、立場や態度や評価や配慮、性別や年齢、感じ方や考え方、価値感や教養や品性を含めた人間性が相手に否応なく伝わってしまう。ひとつの文章が生まれるまでには、無意識のうちに発想や表現のさまざまなレベルでの選択が積み重ねられる。その過程で人間の在り方が、結果として姿を現す言語作品に映っているからである。表現の外面から発想の内面へとそのレベルを順にたどってみよう。~はじめにより抜粋~

 なんと心地よい流れ、淀まないテンポ、そして、軽快で誠実で的確な文章なのだろう。文章を研ぎ澄ますとノイズが排除され純化される。ノイズだらけの人間(私)にはこの文章は到底生み出せそうにない。例え、外面を取り繕う術を得たとしても、内面の混沌が露呈するのだ。

 ことばの選び方、決して軽率に安易に乱暴には渡れない綱渡りの綱のようです。