ロゴデザインの現場

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 「デザイナーの制作領域の多元化はよりいっそう進んでおり、幅広い制作物に対応しつつ、「ブランディングの視点をもってトータルにデザインしていく能力」が求められています。企業やブランドだけでなく、地域、行政、教育、街づくりなどにデザインの力で参加し、貢献していく気鋭デザイナーの制作現場に密着。クライアントへのヒアリング、アイデアスケッチ、ラフ制作、プレゼンテーション、デザインの精緻化、ガイドラインの作成と、すべての工程を詳らかにすることで、デザイナーという職業の実際、そして「デザインの今」に迫ります。」~WEB内書籍紹介文より抜粋~

 確かに「多元化」は進んでいる。その実感があります。ロゴデザインの現場は実に幅広い。デザインの仕事を大きく2つに分けると、「想像的なゾーン」と「作業的なゾーン」に分かれます。これは現場で長年デザインという仕事に向き合っていないと実感できません。外から見ているとデザインの仕事は「想像的なゾーン」にフォーカスしてしまいがちで、「作業的なゾーン」を軽視する傾向にあります。地味な仕事というか単純だけれど重要な仕事を軽視して、どうも想像的で創造的な部分を一般的には煌びやかな存在として捉えがちです。

 しかも、この類の書籍で紹介されている、新進気鋭のクリエイターさん達の軌跡はとても煌びやかで羨むほどですが、実は煌びやかで想像的なゾーンの片鱗に過ぎないのです。実はもっと現場ではドロドロした試行錯誤が多発しており、成果として実現できなかった、いわば、優勝を逃した銀メダリスト達が蠢いているのです。優勝するコンテンツとは理にかなってクライアントさんからの要望が結実していますが、実はその次点以下のコンテンツも優勝の脈はあった。しかし、気分や無碍な理論で処理した結果、優勝(最終決定)しなかったのです。

 これらをイチイチまとめていては書籍として成立しませんから、商品として「ロゴデザインの現場」を広く認知させるために優勝した作品がこの書籍には盛り込まれていますが、実は、クリエイティブワークとして魅力やエネルギーにあふれていたコンテンツは準優勝だったことが多いのです。それらはつくり手の中に残留し、日の目を見ることなく消えていく作品達なのです。必然と言えば必然ですが、実は残らないモノ、残せなかったモノにこそ別ベクトル(次元)の魅力があった可能性が高いのです。

 ビックデータも同様です。残すことが技術的に可能だったモノだけが残っているに過ぎないのです。そこから生まれるビジネスや価値も当然、最大公約数に過ぎません。意外と見落としがちはゾーンなのです。