ポイント。

 何事も、仕事でも生活の場面でも、「コツさえつかめば・・・」という状況があります。

 特にデザインの仕事でも、テクニック的に多くのアプローチや表現方法を習得・収集しているより、案件に合わせてポイントを見分ける眼力があれば、成果が生まれやすいという状況がよくあります。長年の経験値や収集し過ぎた情報が逆に負荷となり枷となり成果を生み出しにくくしているということが多いのです。その場合、過去の失敗事例の検証やなんとなく違和感のある手法をやめ、一旦、基本に立ち返ることで想定以上の成果が生まれます。

 例えば、パンフレットのデザイン。特に表紙は内容をしっかり表現しながら、魅力をより印象的に表現しなければなりません。理論・理屈ではおおむねどのような文字情報とイメージを組み合わせれば、内容にそったより魅力的な表紙デザインの完成形は見えているのですが、実際、グラフィックソフトでつくりはじめると完成形どおり、設計どおりにつくっているつもりが、どこかしっくりこない。タイトル文字のサイズなのか?フォントのタイプなのか?その位置なのか?内容を表現するために描いたイラストのモチーフやタッチが当初の想定になっているはずが、全体的な表紙デザインとマッチしない。さて、どこに原因があるのか客観的に冷静に捉えようとするが、もう、分からない。という状況です。モニターでデザインを制作しているため、しっくりこない時のポイント(コツ)として一回プリントアウトして、成果物の原寸で目視する。そして、そのプリントアウトをホワイトボードなどに貼り、しばらく眺めると、その違和感の原因を限定することができます。つくっている最中は見方が偏り、全体的な文字情報とイメージの組み合わせ方がニュートラルに捉えられないのです。ホワイトボートに貼ったプリントアウトをそのままにして、一回、別のことをしてから、改めて眺めると違和感の原因に気がつくのです。「ああ、イラストの顔の表情だった」とか、「タイトルの文字の位置とサイズだったのか」などなど。

 こんなポイント(コツ)のお話。長年、デザインの仕事をしてきましたら、その歳月(ほぼ30年間)だけあります。そのポイントの中には基本的ないろいろな多くのケースに適用できるポイント(コツ)もあれば、ある特定の限られた案件にのみ適用できるポイントもあります。いわば、デザインの仕事におけるテクニックや能力とはこの「ポイント」の数で実現率・達成率が変わるので、基礎的な形や色、そして、言語的なルールなどをしっかり知識として準備できれば、あとはポイント(コツ)をノウハウとしていくつ持っているかに尽きると思います。

 時代が変わり、デザインの仕事として求められる要望も多種多様になりますから、当然、基礎的なポイントを常にブラッシュアップして変化させる取り組みも必要。過去の事例で良かったことが、現在取り組んでいる案件に良い作用があるとは限らない世界なのです。だから、理論・理屈を多くかかえ、知識や経験値が豊富であることはとても重要ですが、それはモノゴトの一面に過ぎないという意識が大切なのです。杓子定規にセオリーどおりに仕事を進めて、違和感や物足りなさが感じられなくなった時、実は、クリエイターとしては危険信号なのです。

 仕事のポイントは常に変化しているのですから。