成功と偶然の関係。

 「成功する人は偶然を味方にする~運と成功の経済学~(ロバート・H・フランク著)」という書籍がある。
 
 「「努力と才能は報われる」という幻想」
 「才能があっても努力しても、運がなければ成功しない」
 「情報革命で「偶然」の力がますます強まった理由」
 「ポルシェからフェラーリに替えると、人は幸せになれるのか?」などなど、一見、興味が湧きそうなフレーズが広告の紙面にはちりばめられている。

 「成功」「才能と努力」「情報革命」あたりの語彙をチョイスしているだけでも、心の羅針が震えるが、さて、「成功と偶然の関係」を経済学でどう紐解いているのだろう?

 「成功」という語彙だけでも十人十色様々な解釈があり、感じるイメージも異なるし、「偶然」をテーマにした書籍の大前提として、すべて「結果論」になるため、成功者の事例を具体的に上げ、根拠や背景を説明した上で、それがいかに偶然だったかを感覚的に紐解けば、そこに何か発見があるのかもしれない。それを「必然」と解釈せず、「偶然」と解釈することは著者の自由だが、結局、経済学が切り口ならば当然、成功者の事例しか出てこないはず。読者も失敗を繰り返している人の話など聞きたくないだろうし、出版社がその姿勢・状態・事例を「売れる」とは判断しない。などと推測してしまいます。これすべて必然である。つまり、「成功」や「偶然」や「経済学」を文章にしている、できている状態が確実に「必然」の賜物なのだから、どこまで文章の力を借り、著者のポテンシャルをフル活用しようが、そもそも正確に「偶然」を文章で語れないはず。これが僕の解釈です。つまり、「運と成功の経済学」の裏に、「必然と失敗の真意」が潜んでいるはずなのだ。だって、「幸運」を意識するためには「不運」を実感していなければならないし、「成功」を意識するためには「失敗」を体験していなければ分からない。濾過する前の泥水があるはず。

 この本を購入して読んだら、そんな不可解なジレンマを感じることになりそうだと捉えた段階で、やはり、この切り口に興味があるのだとも感じている。文字づらは読めば理解できるが、連想が沸いたり過去に得た知識・知恵と結びつかなければただの快楽に終わる。読書の難しさはそれを知ること以上に、知るための気づくための準備・コンディションが整っているか否かなので、今のところ、この本は見送ろうと思っています。