非論理的思考。

 「論理的思考力を鍛える33の思考実験」という書籍がある。新聞広告にはイラスト付で、このような質問が事例として紹介されていた。

 質問:「暴走したトロッコの先に5人の作業員がおり、線路を切り替えれば1人の作業員がいます。このときあなたは線路を切り替えますか?」という質問である。そのまま放置すれば5名が暴走したトラックに惹かれ、線路を切り替えれば1名の作業員が惹かれる。という状況です。この問題は論理的思考力の世界では有名な質問だそうで、この書籍ではこの類の質問が33個紹介され、論理的思考力を解説しているのだろう。

 確かにこの状況、論理的思考力が鍛えられるだろう。こんな極端なハプニングではないにしても、日常生活においても論理的に判断しなければならないケースは以外と多く、日々のルーティーンで判断できているうちはいいが、このような極端なケースでは自分自身がどんな判断をするのか?確かに興味深い。

 しかし、もしこの場面に私が遭遇したら、思考力のスイッチを入れる前に5名の作業員の方へ全力で駆け出し、なんとかトラックの暴走を気づかせようとするだろう。この質問の状況ならば、線路を切り替える余裕があるのだから、トロッコは切り替え地点にはまだ到達していないはず。そして、暴走している様子は目視できているわけだ。さらに、トロッコが暴走しているレベルだから、新幹線ほどスピードは早くないはず。さらに、5名の作業員も線路を切り替えた先の1名の作業員もその場所から確認できているとしたら、論理的思考力のスイッチを入れる前に、線路を切り替える切り替えないを考える前に5名の元へ全力で走り出すだろう。

 まぁ、論理的思考力って本を見ながら比較的余裕のある状態でゆったり考えましょう的なノリだから、迷いが生まれるわけです。思考力ってどんなにテクニックがあり能力が優れていたとしても、余裕のある机の上の戯れである。

 実際、トラブルの場面に出くわしたり、瞬間的に判断しなければならないケースでは、「さてさて、論理的思考力で・・・」などという余裕はない。それはもう感覚の世界で本能で判断するのが正解だと思います。現場でトラブルに遭遇したらスイッチを入れるのは論理的思考力ではなく、直感的な判断と筋肉への命令を最優先で意識する「非論理的思考」が決め手だと捉えています。こういうタイプの人間は、予測不可能なので、後先考えず、線路の上に石を並べトロッコを脱線させてるかもしれません。ジョン・マクレーン刑事のように。