書店兼カフェ。

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 明日、東京の日本橋浜町に地元との交流目的で新しい書店兼カフェがオープンする。この企画を仕掛けたのは安田不動産。同社はこの地域で貸地業を営んできた老舗企業である。この書店を企画したプランナーの狙いは、会社勤めの人々と古い住民が店で集い、本に刺激を受けて会話が弾む。そんな地域の交流の場となることを期待されたのだ。

 大手から零細店まで書店の廃業は全国的に止まらない。新刊書店のない自治体は全国で2割に達したと記事に書いてあった。ネット時代、書店という空間はもう必要性を失いつつあるのだ。

 確かに僕も目的の書籍はネット通販で購入する。わざわざ書店に行って探す手間が省け、在庫の有無を気にせずいつでも確実に購入できるネット通販はとても便利だ。仕事柄、ネットでの情報収集は日常茶飯事で、ネットがない時代からデザインの仕事で書店や手持ちの資料探しに多くの時間を費やしていたことに比べれば、圧倒的にネットでの情報収集は効率的に勝る。しかし、同様に仕事柄、新しいアイディアを着想しなければならない場面や、アイディアを着想するための体制・コンディションに切り替える場面でよく書店にぶらりとわざわざ出向く。仕事場でパソコンの前に座っていたり、家にいるとどうにも気持ちが萎縮し固定されるのだ。自由な発想や頭の中のアイディアを整理するには、やはり、体制づくりやコンディションづくりが、つまり「わざわざ」が重要なのだ。書店にぶらりと足を運ぶと開放的な気持ちになり、密度の高い多様な情報が整然と並んだ書店空間は最高の場所なのである。

 書籍を購入することだけが目的ならば確かにネット通販が有利だが、書店には想定外の嬉しい発見もあるし、書店の方との会話も楽しい。僕は必ずしもカフェが併設している必要は感じないが、優位性が浸透するには地域性も考慮しなければならないし、商品としての書籍を入手する以外の書籍の価値が少なくなれば書店という空間は必要なくなる。ニーズとのにらめっこである。しかし、ネット通販という手法が利便性に特化する故に黙認しているゾーンが、いずれにしても今後のビジネスモデルの雌雄を決するゾーンになりそうな気がしています。即効性はないが、決してなく無くならない、無くなっては困る重要なゾーンだと思います。

 「わざわざ」にはいろいろ重要な言葉にできない何かが潜んでいるんです。