旧女王の乱心。

 大阪なおみさんが全米を征した。新女王の誕生である。しかし、会場のアメリカ人はそれを望んでいなかった。取り乱す旧女王。耐え難い不安が露呈したのだろう。不動不屈の女王ですら、大阪なおみさんの前では自分を失ってしまったのだ。その不安が会場に連鎖しあの表彰式となった。

 「強さ」とはいったい何だろう?それはとても不安定で変化し続けるモノ。常にそれは循環していて、気まぐれな蝶のように花から花へ移動するのだ。だからこそ、そんな不安定な状況をぶち破った人間、気まぐれな蝶を捕まえた人間だけが「女王」の栄誉を授かる。正にその瞬間だったのだ。おそらく旧女王にはその予感があったのかもしれない。いつかその時が来るだろうと。それが少し想定よりも早すぎたのだ。

 世界の頂点を極めるということは、一見華やかで煌びやかに見えて、実はとても苦しいことなのだ。努力以上の何か、才能以上の何かを習得できていなければ、ピークには立てない。

 おめでとうございます。素敵な瞬間を見せていただき、ありがとうございました。