映画「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」

lion_gazo_0001.jpg

 インドでは毎年迷子になる子どもが8万人いるらしい。迷子になった子ども達は路頭に迷うか人身売買で過酷な労働を強いられるか、命を落とすかという悲劇が待っているらしい。5歳で迷子になった少年が異国の地で立派な青年となり、母と再開するという物語なのだが、徹底的なインドのリアリティーから過酷熾烈な過去を拭えない青年の苦悩は映画が終わったあとも、心の緊張が解けず胸が締め付けらる感覚がいつまでも残った。主人公の熱演もさることながらそんな数奇な運命に翻弄される男性を傍らで支えた女性役のルーニー・マーラさんが素敵だった。互いに理解しようとするが、二人の間にある決定的な人生観の格差があまりも異質で大きく深く、愛情ではその隙間をどうしても埋めることができない苦しみ。いやいや、素敵な映画でした。

 と、最近、物語の中であまり人間が殺されない、死なない映画を観る傾向が強くなった。「デットプール2」や「ジュラシックワールド」は別格として、物語のテンションを上げるためだけとか、正義の定義が曖昧な状態で当然のように武器が登場して無碍に人が殺されるシーンは心地良くない。できるだけそういうタイプの映画を敬遠してしまう。同様に大河ドラマなども「正義の定義」が曖昧で嫌いだ。「歴史浪漫」という言葉で人の殺戮シーンを片付けるのはかなり乱暴なアプローチだと嫌悪感を覚え後味がとても悪い。別段、そのシーンはなくとも人間の生命の尊厳や価値さは描けるんじゃないかななどと、素人評論家は自由奔放に考えてしまいます。

 映画の最後にご本人達が登場しているシーンがあったが、現実こそが奇なりなのです。