シリーズ展開力。

 いくらインパクトのあるデザインが制作できたとしても単発勝負では継続性に欠ける。事業の営業展開や販売促進力の継続性を高める意識がないと訴求力は低下したり、ムラが発生したりして情報を受け取る側に対しての伝達力が低下する。例えば、毎月発行する定期的なニュースコンテンツや不定期だが集客を目的で企画・開催するイベントやセミナーなどの企画も同様である。このシリーズ展開力は1本目の企画力や構想力を2本目に効果的に連動・継続させなければならない。この作業にはメンタル的な粘りと新しいアイディアや工夫を着想するエネルギーが常に必要である。いくら優れた企画やデザイン表現を1回だけ生み出せても、その内容や表現が回を重ねる毎に進化していくことが理想である。どんなに優れたデザインでも時間の経過と共に人間は飽きてしまうのだ。しかしながら、次から次へと新しいアイディアの着想や定期的に鮮度の高い情報を収集し続けることは結構なエネルギーと独創力・観察力・分析力などが必要である。

 僕はほぼ3年間、毎週、第3号から第100号のオンライン上の定期発行物の制作をした経験があるのですが、これはなかなかタフな案件でした(とてもやりがいのある素晴らしい案件でした)。それは毎週、クライアントの担当者様から送られてくるテキスト原稿からグラフィックなイラスト素材や正確なグラフを制作して仕上げるデジタルニュースコンテンツでした。1週間サイクルで次から次へと新しいアイディアを出しながら、クライアント様からの情報に対する表現手法や文章表現の適正化をする作業はかなりタフだった。途中で体力的にもアイディア出しの点でも何度か苦しい状況が続き、仕事を放棄してしまいそうな状況になりましたが、粘りに粘り、この案件を最終号まで無事コンプリートでき、クライアント様から「お疲れ様でした。長年、ありがとうございました」と言っていただけたことでその苦労が一瞬で消えました。デザインの仕事はデザインを制作して代価を頂くというシンプルな仕事であり、必ずクライアント様が存在しています。ご要望に対する充分な対応ができずにクレームや注意ばかりを受けているケースがほとんどですが、こうして、仕事が完結・完了した後の御礼の言葉ほど嬉しいことはありません。これはデザインの仕事に取り組む上で最大のモチベーションになります。

 「シリーズ展開力」の具体的な思考術やテクニックについては、また、改めてこのブログや僕のYOUTUBEチャンネルで紹介していきたいと思っています。シリーズ展開力を鍛えるために大切なポイント(コツ)は3つ。制作上のマルチな「基礎テクニック」と常にアイディアを「探求する姿勢」、そして、どんな仕事にも通用する能力だと思いますが、コツコツと老刑事サマセットのように「諦めず徹底的に粘ること」だと思います。いずれも地味な作業ですが、デザインの仕事には必要な素養・技能だと思います。