プラトー。

 プラトーとは、一時的な停滞状態のこと。トレーニング時の能力向上の停滞期を指す。プラトーになると今までと同じトレーニング内容にもかかわらず成績が向上しない。この原因は、休養不足、栄養不足などが挙げられるだそうだ。実際、野球や陸上の練習をしていた頃にも、今までと同じ練習をしているのにまったく技術的なレベルアップが実感できず、焦った経験が多い。勉学でも同じで「僕のポテンシャルはこんなもんじゃないはず」という焦りを経験した。知識も技術も感覚も何か高い目標設定をして、レベルアップを目指しているケースって、仕事でも同じ。特にデザインの仕事はデザインに関する基礎知識があったとしても、ほぼ、それでは仕事にならないことが多い。仕事にならないと言うか現場で通用するレベルではないのだ。世の中のデザインの流れや技術的な表現方法についてのテクニックや知識、WEBデザインに取り組んでいるのならHTMLコーディングに関する世の中の進化、映像制作ならばキャリアや専用機材の進化などなど、習得するべき技能は無尽蔵だからだ。

 デザインワークを始めよう、実施に始めたがいきなり壁にぶつかる時って、基礎知識をある程度取得したあとにやってくる。これがデザインテクニック向上段階の「プラトー」である。デザインテクニックって無形だから向上のレベルに基準がない。と言うより無限に評価基準が存在する。世の中的にはグッドでも、クライアント的にはNGというケース。つくり手としてこのテクニックでこのスタイルでと思っていても、クライアントがNGならば仕事は成立しない。単にレベルが向上すればNGにならないのか?という問題でもない。これが非常に悩ましい。陸上ならタイムアップで向上レベルは分かるし、野球ならヒットを多く打てばいい。しかし、デザインワークのホームランは何パターンもあるからだ。

 さて、デザインワークにおける技能の向上に深く関連してるのが、パソコン(ソフトウエア)の技能だ。パソコンの健康管理やネットワーク構築上の基礎知識は勿論、データを管理するための整理術なども効率と深い関係があるし、データサイズの適正化や形式の汎用性などについても基礎知識レベルである。また、デザインワークの場合、ある特定のソフトウエアにのみ長けていてもあまり効果や利点はなく、連携させてなんぼ、みたいな側面もある。データの互換性に関する知識と技術、そして着想力(思考力・連想力)である。印刷物には印刷物のWEBサイトにはWEBサイトの映像には映像の適正なデータサイズと形式があるのだ。当然、エクスポートとインポートを繰り返しているとデータ本体は劣化するし、予期してない破損もよくある。映像データなどもそれぞれの表示デバイス毎に推奨されているデータ仕様はあるものの、実際は正解はないように感じている。

 これらの技術を退化させないためにはやはり、日頃の鍛錬と探求しか術はない。デザイン道にも近道はないのだ。しかし、自分の知識が技術が今どのレベルかを規定する適正なモノサシがなくてとても悩ましい。常に「この方向でいいよな」「ちょっと脱線しているのかな」「とりあえず、こことここはしっかり習得しよう」と試行錯誤&暗中模索の連続なのだ。概ね手順として、ネットや専門書で基本的な操作を知る→実際にモックアップを制作してみる→その知識と経験から仕事用に転換する切り口(アイディア)を見つける→実際にデータ制作(デザイン制作)→そして、徹底的なチューニング→完成。一番肝心の部分は3つ目。「知識を仕事用に転換する」という部分。ここで技能の向上レベルを判断できる。つまり、いくら良いアイディアがひらめいても完成できなければ「絵空事」で終わるからだ。この「絵空事」が非常に多い。自分自身に期待するのはいいことだが達成できな目標を設定しても時間の浪費に終わるので、目標設定を下限修正しなければならないのだ。しかし、一定の平衡状態・均衡状態を抜けると、面白いほど実現率が高くなり、それに同期して良質なアイディアやひらめきが生まれるようになる。ここからがつくり手の真骨頂・醍醐味である。

 そう、プラトーを脱出する出口が見えた時、デザイン技能は確実に向上しているのだ。