「売りたい商品」が売れている!?

 完全な独り言ですが、現代は「売れる商品」が売れているんじゃなくて、「売りたい商品」が売れているような気がします。

 どうでもいいことかもしれませんが、「売れる商品」の定義はたくさんのリサーチと研究と分析を繰り返して、市場が求めている商品(製品)づくりで大量生産型の物流構造に寄せた鉄板ルールから生まれる商品。以前、あるメーカー様の芳香剤のパッケージデザインを担当させていいただいた際、まず、制作チームが世の中の傾向やトレンドを考慮したデザインを制作します。何点も何点も。で、再度、デザイン案の調整を繰り返し試作品をつくる。で、完成ではなく、わざわざ、ターゲット層のユーザーをランダムに100名ほど会場に集め、その中でデザインを品評評価してもらう。そこで発生した意見や感想をパッケージデザインにフィードバックする。そのプロセスを何回か繰り返して、最終的にメーカーさんの責任者がその結果を充分に考慮して最終デザインを決定する。だから、メーカーの担当者部隊、制作会社側のデザイナーやディレクター、そして、営業サイドの人間、さらに、品評会に集まった擬似ターゲット層の皆様、ほぼ300名近い人間の目でひとつの商品のパッケージデザインが数ヶ月に渡り検討される。確かにこのプロセスなら99%間違いない手順だとその時は実感していたが、結果、完成した最終デザイン案は最初に試作していた中に近いモノがあったような気になり、うん?この数ヶ月、僕は何をしていたんだろう?という感覚になりました。

 「なんじゃい!最初のデザイン案が正解だったじゃん!」と。

 でも、大量生産型の商品開発の行程では絶対的に「ハズレデザイン」を市場に出すことはできないので、これほどの制作期間・検討期間が必要なんですし、多くのいろいろな多様な人の目にデザインを曝すということが大切なプロセスなんです。

 ただ、現代はそうじゃないニーズもあるんじゃないかな?ということで、それが「売りたい商品を売ればいい」という個人的な考え方に至りました。当然、「売りたい」が「売れない」は発生しますし、ハズレの確率も高くなるのですが、そもそもつくり手が「売りたい」と思えないような商品をつくることに納得しているか?という疑問と、売るために手間暇かけてつくった商品なら売れて当然、という状況がつくり手としてそれで満足か?という疑問です。よりもこれを売るんだ!という気持ちというか心意気でつくった商品が売れた時の満足感はMAXだと想像しています。インターネットの構造や仕組みもなんとなくですが、そういう風潮というかノリに寄せていっているような気がするのです。

 一周して「売り手市場」のような。

 ま、舗装された一直線の道路を時速200kでカッ飛ぶか? 険しい道なき道に踏み込むのか? の違いだろうけれど、ワクワクするのは道なき道ルートなんじゃないかなと。