理系か文系か?

 高校の頃、クラスは確かに文系だった。しかし、大阪芸大を選択した段階でもう文系とか理系とかは関係のない領域に踏み込んでしまった。しかも、高校時代は硬式野球しかしていない。こんな経歴の人間が社会に出て「スギノさんは理系ですか?文系ですか?」などとクライアントさんから質問された時、非常に返事に困惑していた記憶がある。そもそも「文系」と「理系」とはどう定義していいのかさえ実感がないからだ。

 そんな時は「体育会系と芸術系のハイブリッドです」と答えている。「文系ですか?理系ですか?」と質問されて言葉に詰まる感覚が20代の頃は少し劣等感があったが、もう56歳になってしまえば、大手を振って「体育会系と芸術系のハイブリッド」と言える(言うしか選択肢がない)。

 でも、どうやら時代の大きな流れは「体育会系」の努力とか熱意とか動機付けのような精神論や哲学的なアプローチを他人に求めるようになったような、そして、「芸術系」の想像力やインスピレーションや美意識を求めるようになったような気がしているので、ハイブリッド論を胸を張って公言できる時代になったのかなと捉えている(勝手に)。ま、人間形成上の王道である「文系と理系」路線から脱線した人間が紙一重で進化のルート(逃げ道)を見つけたような手順である。

 サボテンの花を食べるために指の爪を進化させたり、海草を食べるために指の間にヒレを備えたイグアナ君のように、ノーマルタイプでは生きていけない陸上で適正な進化を遂げたということにして、心の刃を鞘に戻そうと思っています。文系にも理系にもなれなかったフリークのちょっと切ない独り言でした。