迷える羊。

 昨晩、米津さんの新しいアルバムを聴いた。これが恐らく今日本で一番ホットでディープでスマートな作品なんだろう。しかも、米津さんがこの作品「迷える羊」をつくり始めたのが2020年の2月頃、音楽専門誌のロングインタビューでそう語っておられた。つまり、コロナが日本を震撼させ始めていた頃、米津さんはこの作品をつくっていたのだ。それを想像すると、いかにこの作品への想いやこだわりの深さというかディテールの機微みたいなモノの価値・意義の大きさが分かる。同時に巨大なエネルギーも。ま、ファンの一心理だから自由に解釈すればいいのだが、それほどにこの作品は凄まじく気高い。改めて「米津玄師」というアーティストの魅力を実感してしまった。歌詞の質量、リズムとメロディーの綾、歌声の抑揚、そして、楽曲を聴き終わった後の摩訶不思議な余韻。どれをとっても他の日本のアーティストの追随を許さない孤高の音楽人である。また、同マガジンにあいみょんさんの日比谷での無観客ライブの記事もあったが、なんでしょう、無意味に(他人の戦略の下で)集まっているアーティストさん達と比べて個で創作活動をしておられる方達の目指す世界観の高さに心が震える。人が集まることをこれほどに制限された状況において、人が集まることで生まれる良い部分と悪い部分が明確に分別され、個で何か新しい価値を生み出そうとしている人のポテンシャルの高さや想いの深さや覚悟の強さが、むしろ、強調特化され、際立っているような印象を受ける。「人が3人以上集まると必ず争いが生まれる」という意味の言葉にリアリティーを感じてしまいます。

 「お前はどうしたい? 返事はいらない」という関係がなんとも素敵である。